この記事で分かること

FXの損切りを「何pipsにすればいいか」という疑問に、トレードスタイル別の目安と、具体的な決め方の両方で答えます。損切りの位置をチャートで決め、ATRで幅を確かめ、資金の2%からロットを逆算する3ステップを、ドル円のデイトレードの計算例で通して説明します。

結論:損切りは「位置→幅→ロット」の順番で決める

FXの損切りを決める3ステップ。ステップ1は位置で、チャート上でシナリオが崩れる価格(直近の安値・高値の少し外側)に置く。ステップ2は幅で、エントリーから損切り位置までの幅がATRの1.5〜2倍程度に収まっているかを確かめる。ステップ3はロットで、損切りになったときの損失が資金の2%以内になるように取引量を計算する。多くの初心者は逆に、ロットを先に決めてから損失額に合わせて損切り幅を決めてしまい、損切り貧乏になる
動かすべきは損切りの幅ではなく取引量。幅はチャートで決め、損失額はロットで調整します

「FXの損切りは何pipsが目安ですか」という質問を、筆者はこれまで何度も受けてきた。15年間の専業トレードの経験から言えるのは、損切りの幅を「20pips」「30pips」と先に固定するのは、順番が逆だということだ。相場は日によって、時間帯によって、値動きの大きさがまったく違う。静かな日の20pipsと、重要指標の発表直後の20pipsは、意味がまるで違う。

正しい順番は次の3ステップだ。

損切りを決める3ステップ
  1. 位置を決める:チャート上で「ここを抜けたら自分のシナリオが間違っていた」と言える価格(直近の安値・高値の少し外側など)に置く
  2. 幅を確かめる:エントリー価格から損切り位置までの幅が、ATR(平均的な値動きの大きさ)と比べて狭すぎないか、広すぎないかを確認する
  3. ロットを計算する:その幅で損切りになったときの損失が資金の2%以内になるように、取引量を決める

多くの初心者は逆に、まず「1万通貨で取引する」と取引量を決め、そこから「損失が2,000円で済むように20pipsで切ろう」と幅を決める。こうして決めた損切りは、チャート上の意味がない位置に置かれるため、相場の小さな揺れで刈られ、その直後に思った方向へ動く——いわゆる「損切り貧乏」になりやすい。動かすべきは損切りの幅ではなく、取引量のほうだ。

トレードスタイル別の損切り幅の目安

とはいえ、目安の数字がないとイメージしにくいのも事実だ。下の表は、ドル円で使う時間足ごとの、損切り幅のおおよその目安だ。値動きの大きさは時期によって変わるため、あくまで出発点として使い、実際の幅は後で説明するATRで確かめてほしい。

トレードスタイル 主に使う時間足 損切り幅の目安(ドル円) 保有時間
スキャルピング 1分足・5分足 3〜10pips 数秒〜数十分
デイトレード 15分足・1時間足 15〜40pips 数十分〜1日
スイングトレード 4時間足・日足 50〜150pips 数日〜数週間

通貨ペアによっても目安は変わる。ポンド円やゴールドのように値動きの大きい銘柄では、同じ時間足でもドル円の1.5〜2倍以上の幅が必要になることが多い。通貨ペアごとの値動きの特徴は通貨ペアの選び方でまとめている。

スキャルピングの狭い損切りはコストに注意

損切り幅が5pipsのとき、スプレッドが0.2pipsでも損切り幅の4%がコストになる。さらに、指標発表時などはスプレッドが広がり、損切り注文が想定より不利な価格で約定することもある。損切り幅が狭いスタイルほど、コストと約定のずれの影響が大きくなる。

ステップ1:損切りの位置をチャートで決める

損切りの位置は、「ここまで来たら、自分がエントリーした根拠が崩れた」と判断できる価格に置く。根拠が崩れていないのに損切りするのも、根拠が崩れたのに持ち続けるのも、どちらも間違いだ。代表的な置き方は次の3つだ。

置き方1:直近の安値・高値の外側

上昇トレンドの押し目で買うなら、直近の安値(押し目の底)の少し下に置く。直近の安値を割り込めば、上昇トレンドが続いているという前提が崩れるからだ。売りの場合は、直近の高値の少し上に置く。

置き方2:サポート・レジスタンスの外側

何度も反発している水平線(サポートライン)の近くで買うなら、その水平線の少し下に置く。水平線を明確に割り込めば、そこで買いが入るという前提が崩れる。水平線の引き方はサポートとレジスタンスの解説で詳しく説明している。

置き方3:トレンドラインや移動平均線の外側

トレンドラインや移動平均線に沿って動いている相場では、そのラインを明確に抜けた位置に置く。ただしラインは引き方によって位置が変わるため、直近の安値・高値と組み合わせて確認するとよい。

「少し外側」とはどれくらいか

直近の安値ちょうどに損切りを置くと、そこをわずかに割り込んで反発する動き(いわゆる「ヒゲ」)で刈られやすい。多くのトレーダーが同じ価格に損切りを置いているため、そこを狙った動きが出ることもある。目安として、安値・高値からATRの0.3〜0.5倍程度、または数pips外側に置くと、ノイズで刈られにくくなる。

ステップ2:ATRで幅が妥当か確かめる

チャートで位置を決めたら、エントリー価格からその位置までの幅が妥当かを確かめる。ここで使うのがATR(Average True Range)だ。ATRは、一定期間(通常14本)のローソク足の値幅の平均で、「この時間足では、ローソク足1本でだいたいこれくらい動く」という目安になる。ATRの詳しい使い方はATRの使い方の解説にまとめている。

損切り幅とATRの関係 判断 起きやすいこと
ATRの1倍未満 狭すぎる ふだんの値動きの範囲内で損切りされる(損切り貧乏)
ATRの1.5〜2倍 標準的 ノイズでは刈られにくく、損失も大きくなりすぎない
ATRの3倍以上 広すぎる可能性 ロットが小さくなりすぎる。利確幅も大きく取る必要がある

チャートで決めた位置までの幅がATRの1倍に満たないなら、その位置は値動きのノイズの中にある。この場合は、損切りをもう1つ外側の安値・高値に移すか、エントリーを見送る。逆にATRの3倍を超えるなら、エントリーの位置が損切り位置から遠すぎる。もっと損切り位置に近いところまで引きつけてからエントリーすることを考える。

ATRは時間足ごとに値が違う。デイトレードで1時間足を見てエントリーするなら1時間足のATR、スイングトレードで4時間足を見るなら4時間足のATRを使う。目安として、ドル円の日足のATRは、落ち着いた時期で70〜100pips前後、値動きの大きい時期には100pipsを超えることも多い。

ステップ3:資金の2%からロットを計算する

損切りの位置と幅が決まったら、最後にロット(取引量)を計算する。基準は、1回の損失を資金の2%以内に抑えるという2%ルールだ。

ロットの計算式(ドル円)

取引量(万通貨)= 資金 × 2% ÷(損切り幅pips × 100円)

資金30万円・損切り幅30pipsなら:300,000 × 0.02 ÷(30 × 100)= 2万通貨

資金(2%の金額) 損切り15pips 損切り30pips 損切り60pips 損切り100pips
10万円(2,000円) 約1.3万通貨 約6,600通貨 約3,300通貨 2,000通貨
30万円(6,000円) 4万通貨 2万通貨 1万通貨 6,000通貨
50万円(1万円) 約6.6万通貨 約3.3万通貨 約1.6万通貨 1万通貨
100万円(2万円) 約13.3万通貨 約6.6万通貨 約3.3万通貨 2万通貨

表を見ると分かるとおり、損切り幅が広いときはロットを小さく、狭いときはロットを大きくすることで、1回の損失額は常に同じ(資金の2%)に保てる。損切り幅が広い取引が危険なのではなく、損切り幅に合わせてロットを調整しないことが危険なのだ。なお、表の取引量は2%ルールの上限で、FXを始めたばかりの時期は、これより小さい取引量から始めるほうが安全だ。資金管理の全体像はFXのリスク管理で解説している。

損切り幅と利確幅の関係——リスクリワードと必要な勝率

リスクリワード比と損益分岐の勝率。損切り1に対して利確0.5なら必要な勝率は約66.7%、1対1なら50%、1対1.5なら40%、1対2なら約33.3%、1対3なら25%。損益分岐の勝率は損切り幅÷(損切り幅+利確幅)で計算する。最低ラインは1対1.5以上が目安で、チャート上の次の節目までの距離が損切り幅の1.5倍に満たない取引は見送る
利確幅を大きくするほど必要な勝率は下がりますが、利確に届く前に反転する取引も増えます。利確幅は次の節目までの距離で決めます

損切りの幅を決めたら、利確の幅もそれとセットで考える。損切り幅に対する利確幅の比率をリスクリワード比という。損切り30pips・利確60pipsなら、リスクリワード比は1:2だ。リスクリワード比によって、トータルで損をしないために必要な勝率(損益分岐の勝率)が決まる。

リスクリワード比(損切り:利確) 損益分岐の勝率 勝率50%のときの結果(10回取引)
1:0.5 約66.7% −2.5回分の損失
1:1 50% ±0
1:1.5 40% +2.5回分の利益
1:2 約33.3% +5回分の利益
1:3 25% +10回分の利益

損益分岐の勝率は「損切り幅 ÷(損切り幅+利確幅)」で計算できる。実際の取引ではスプレッドのコストがかかるため、必要な勝率はこれより少し高くなる。勝率と期待値の考え方は勝率と期待値の解説で詳しく取り上げている。

ここで注意したいのは、「利確幅を大きくすればするほど有利」というわけではないことだ。利確幅を大きくすると、利確に届く前に反転する取引が増え、勝率が下がる。筆者が勧めるのは、まずリスクリワード比1:1.5以上を最低ラインにし、チャート上の次の節目(直近の高値・安値や水平線)までの距離で利確幅を決めることだ。次の節目までの距離が損切り幅の1.5倍に満たないなら、その取引は見送る。

計算例:ドル円のデイトレードで損切りを決める

ドル円のデイトレードで損切りを決める計算例。150.00円で買い、直近の安値は149.78円、1時間足のATRは18pips、資金は30万円。損切りは安値の少し外側の149.73円で幅は27pips。27pipsはATRの1.5倍で標準的な範囲。資金の2%は6,000円なので、取引量は6,000円÷(27pips×100円)で約2.2万通貨、切り捨てて2万通貨。損切り時の損失は5,400円。利確は次の節目150.55円の手前の150.50円で、利益は1万円、リスクリワード比は約1対1.85
位置はチャートで、幅はATRで確かめ、取引量で損失額を資金の2%以内に合わせる。エントリーと同時に損切りと利確の注文を入れます

ここまでの3ステップを、具体的な場面で通して計算してみる。

場面の設定
  • 通貨ペア:ドル円・1時間足で上昇トレンド
  • エントリー:押し目の反発を確認して150.00円で買い
  • 直近の安値(押し目の底):149.78円
  • 1時間足のATR(14):18pips
  • 次の節目(直近の高値):150.55円
  • 資金:30万円

ステップ1:位置

直近の安値149.78円の少し外側に置く。安値からATRの0.3倍(約5pips)下に離して、損切りは149.73円。エントリーからの幅は27pipsになる。

ステップ2:幅の確認

27pips ÷ ATR18pips = 1.5倍。ATRの1.5〜2倍の標準的な範囲に収まっているので、この位置で問題ない。

ステップ3:ロット

資金30万円の2%は6,000円。6,000円 ÷(27pips × 100円)= 約2.2万通貨。端数を切り捨てて2万通貨で取引する。損切りになったときの損失は27pips × 200円 = 5,400円(資金の1.8%)だ。

利確とリスクリワード

次の節目150.55円までは55pips。リスクリワード比は27:55で約1:2になり、最低ラインの1:1.5を満たしている。節目の少し手前の150.50円(50pips)に利確を置けば、利確時の利益は50pips × 200円 = 1万円、リスクリワード比は約1:1.85だ。この取引はエントリーしてよいと判断できる。

項目 値 根拠
エントリー 150.00円 押し目の反発を確認
損切り 149.73円(−27pips) 直近安値149.78円の約5pips下(ATRの0.3倍)
幅の確認 ATRの1.5倍 標準的な範囲(1.5〜2倍)
取引量 2万通貨 資金30万円×2%÷(27pips×100円)
利確 150.50円(+50pips) 次の節目150.55円の手前
損失/利益 −5,400円/+1万円 リスクリワード比 約1:1.85

エントリーと同時に、損切りと利確の注文を入れておく(IFO注文)。こうしておけば、エントリーした後に感情で判断を変える余地がなくなる。注文の種類は注文方法の解説で確認できる。

損切りでやってはいけない5つのこと

1. 損切りを遠ざける

損切りの価格に近づいたときに「もう少しで戻りそうだ」と損切りを遠くへ動かすのは、最もやってはいけない行動だ。最初に決めた損失の上限が意味を失い、1回の損失が資金の5%、10%と膨らんでいく。損切りできない心理の正体と対策は損切りできない心理の解説で詳しく書いた。

2. 損切りを入れずにエントリーする

「様子を見てから決める」と考えた損切りは、ほとんど実行されない。エントリーと同時に逆指値の損切り注文を入れることを、例外なく守る。

3. 金額だけで損切り幅を決める

「1回の損失は2,000円まで」という金額のルール自体は正しいが、そこから直接「1万通貨なら20pips」と幅を決めると、チャート上の意味がない位置に損切りが置かれる。金額は取引量で調整し、幅はチャートで決める。

4. 損切りした直後に逆方向へエントリーする

買いで損切りになった直後に、取り返そうとして売りでエントリーするのは、根拠のない取引になりやすい。損切りになったら、いったん取引をやめて、シナリオがどこで崩れたのかを確認する。

5. 含み益が出たのに損切りを動かさない

損切りを遠ざけるのは禁止だが、含み益が出たときに損切りを有利な方向へ動かすのは有効な方法だ。たとえば利益が損切り幅と同じくらいになったら、損切りをエントリー価格(建値)に移せば、その取引は少なくとも損をしなくなる。ただし動かすのが早すぎると、小さな押し戻しで決済されるので、直近の安値・高値の更新に合わせて動かすとよい。

よくある質問(FAQ)

FXの損切りは何pipsが目安ですか?▼
ドル円の場合、スキャルピングで3〜10pips、デイトレードで15〜40pips、スイングトレードで50〜150pipsがおおよその目安です。ただし値動きの大きさは日によって変わるため、損切り幅は先に固定せず、チャート上の位置(直近の安値・高値の外側など)で決め、ATRの1.5〜2倍程度に収まっているかを確認するのがおすすめです。
損切りは資金の何%にすればいいですか?▼
1回の取引の損失を資金の2%以内に抑えるのが一般的な目安です。資金30万円なら1回の損失は6,000円までです。この2%は損切りの「幅」ではなく、取引量を決めるために使います。損切り幅が広いときは取引量を小さく、狭いときは大きくして、損失額を2%以内に保ちます。
損切りしたらすぐに戻ることが多いのはなぜですか?▼
損切りの位置が、ふだんの値動きの範囲内(ATRの1倍未満)にあるか、多くのトレーダーが損切りを置く価格のちょうどにある可能性があります。直近の安値・高値から少し外側(ATRの0.3〜0.5倍程度)に置き、損切り幅がATRの1.5倍以上あるかを確認してください。幅を広げた分は、取引量を減らして損失額を調整します。
損切りを入れずに、含み損になったら判断するのではだめですか?▼
おすすめしません。含み損を抱えた状態では、損失を確定させたくない心理が強く働き、判断が遅れがちです。その結果、損失が想定の何倍にも膨らむことがあります。エントリーと同時に逆指値で損切り注文を入れておけば、感情に左右されずに決めたとおりの損失で済みます。
リスクリワード比はどれくらいにすればいいですか?▼
最低ラインとして1:1.5以上を目安にするのがおすすめです。1:1.5なら損益分岐の勝率は40%で、勝率が5割に届かなくてもトータルでプラスを目指せます。ただし利確幅を大きくしすぎると勝率が下がるため、チャート上の次の節目までの距離で利確幅を決め、その距離が損切り幅の1.5倍に満たない取引は見送るのが現実的です。

まとめ:損切りは「負け方を決める」技術

損切りの目安は、「何pips」という1つの数字ではなく、チャートの位置・値動きの大きさ・資金の3つから決まる。この順番を守れば、損切り貧乏にも、1回の大きな損失にもならない。損切りは、負けを避ける技術ではなく、負けたときの損失をあらかじめ決めておく技術だ。

  1. 損切りの位置は、シナリオが崩れる価格(直近の安値・高値の少し外側)に置く
  2. 幅がATRの1.5〜2倍程度に収まっているかを確認する
  3. 損失が資金の2%以内になるように、取引量で調整する
  4. リスクリワード比1:1.5以上を最低ラインにする
  5. エントリーと同時に損切り注文を入れ、損切りを遠ざけない
今日やること
  • ① よく使う時間足にATR(14)を表示して、今の値を確認する
  • ② 直近の取引の損切り幅が、ATRの何倍だったかを計算する
  • ③ 次の取引から、位置→幅→ロットの順で損切りを決める
次に読む記事(テクニカル分析)
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編集・検証担当
FX情報商材をぶった斬る! 編集部

元FX専業トレーダー(トレード歴15年)を中心とする編集・検証チーム。FX情報商材・EA・インジケーターを実際の相場で検証し、データに基づく辛口評価を行う。アフィリエイト報酬のために評価を曲げることはしない。